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介護福祉学科
介護福祉士になるには?進学と就職の両方から考えてみよう

「介護の仕事に興味はあるけど、将来性はどうなんだろう…」
高校生の皆さんや保護者の方がこのような疑問を持つのは自然なことです。介護福祉士は、国家資格を持つ介護のプロフェッショナルとして、高齢者や障がい者の生活を支える重要な役割を担っています。
介護福祉士の資格を持つことで、単なる介護職員とは一線を画した専門性と社会的信頼を得ることができます。具体的には、以下のような価値があります。
- 専門的な知識と技術を証明できる国家資格である
- 介護施設や医療機関での就職に有利になる
- キャリアアップや給与面でのメリットがある
- 高齢社会において需要が高まり続けている
特に注目すべきは、2025年問題と呼ばれる団塊の世代が75歳以上となる社会的課題です。厚生労働省の調査によると、2025年には約245万人の介護人材が必要とされていますが、現状では約34万人の人材が不足すると予測されています。つまり、介護福祉士の需要は今後ますます高まると言えるでしょう。
目次
介護福祉士になるための2つの道:進学と就職

介護福祉士になるためには、大きく分けて2つの道があります。それぞれの概要を見てみましょう。
1. 進学して取得する道
まず一つ目は、高校卒業後に介護福祉士養成施設(専門学校や大学)に進学するルートです。
期間 | 費用の目安 | 資格取得の流れ |
2年~4年 | 専門学校:約200万円~大学:約400万円~ | 養成施設卒業時に国家試験を受験し、合格することで資格取得 |
2. 就職して取得する道
もう一つは、高校卒業後に介護施設などに就職し、実務経験を積みながら資格を取得するルートです。
期間 | 費用の目安 | 資格取得の流れ |
最短3年以上 | 実務者研修費用:約10~15万円
国家試験費用:約1.5万円 |
介護施設で3年以上の実務経験+実務者研修(450時間)の修了後、国家試験を受験 |
「就職してから取得する方法の方が、学費がかからないし経済的に良さそう…」
そう考える方も多いかもしれません。しかし、この2つの道には大きな違いがあります。次のセクションでは、なぜ進学して資格を取得する道が多くの高校生にとって良い選択となる可能性が高いのか、詳しく見ていきましょう。
専門学校で介護福祉士を目指すメリット

進学して介護福祉士を目指すことには、多くのメリットがあります。特に専門学校に進学するメリットは以下の通りです。
1. 体系的な知識と技術を効率よく習得できる
介護福祉士養成施設では、カリキュラムに沿って基礎から応用まで体系的に学べる環境が整っています。医療・福祉の専門知識から実践的な介護技術まで、プロの教員から直接指導を受けることができます。
「実際の現場で学んだ方が良いのでは?」と思うかもしれませんが、現場では業務に追われて基礎からじっくり学ぶ時間は少なく、独学では得られない実技指導や専門知識を体系的に学べるのが専門学校の強みです。また、演習系の授業の中では、介護を「受ける側」と「介助側」を交互に行うことも多く、介護を受ける側の視点からも学ぶことができます。
2. 実習を通じて現場経験を積める
専門学校では充実した実習プログラムがあり、様々な介護施設で実践経験を積むことができます。これにより、就職前に複数の職場環境を知ることができ、自分に合った就職先を選ぶ判断材料になります。
例えば、仙台医療福祉専門学校では、2年間で合計450時間以上の実習があり、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、障がい者施設など様々な現場を経験できます。
3. 就職に有利
介護福祉士養成施設は、業界とのつながりが強く、就職サポートが充実しています。多くの専門学校では就職率95%以上を誇り、学生一人ひとりの希望に合わせた就職支援を行っています。
また、採用側も養成施設出身者を高く評価する傾向があります。体系的な教育を受けており、基礎知識や技術が身についているため、即戦力として期待されるからです。
4. 人間的成長とネットワーク構築
専門学校では同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨することで、人間的な成長も期待できます。また、同級生や先輩、教員との人間関係は、将来の貴重な人脈ネットワークとなります。介護業界は人とのつながりが重要であり、このネットワークが将来のキャリア形成に役立つことも少なくありません。
5. 卒業と同時に資格取得のチャンス
現行制度では、養成施設卒業見込み時点で国家試験を受験することができ、合格すれば卒業と同時に介護福祉士資格を取得できます。就職してから資格取得を目指す場合は最低3年かかることを考えると、時間効率が格段に良いといえるでしょう。
ポイント
専門学校卒業後は、新卒として就職できるだけでなく、すでに国家資格を持った状態でスタートできるため、より良い条件での就職やキャリアアップが期待できます。
働きながら介護福祉士を目指す場合の現実

1.時間がかかる
働きながら資格を取得するためには、最低3年間の実務経験が必要です。さらに実務者研修(450時間)を修了し、国家試験に合格する必要があります。
多くの場合、仕事と学習の両立は想像以上に大変で、実際には3年よりも長い時間がかかるケースがほとんどです。特に実務者研修は働きながら受講するため、身体的・精神的な負担も大きくなります。
2. 学習の質と効率
現場では業務に追われ、体系的に学ぶ機会は限られています。また、所属する施設によっては、限られた種類の介護技術しか経験できないことも。
実際の声として、「職場で習得した知識や技術には偏りがあり、国家試験対策には独学が必要だった」という意見も少なくありません。
3. 経済的メリットは想像より少ない
「学費を払わない分、経済的に有利」と思われがちですが、実際には以下のような要素も考慮する必要があります。
- 国家資格なしでの初任給は低めに設定されていることが多い
- 資格取得までの3年間は資格手当がつかない
- 実務者研修の費用(約10~15万円)と受講のための休暇取得
- 国家試験対策の勉強会や参考書の費用
例えば、資格なしで働いた場合と専門学校卒業後すぐに資格を持って働いた場合の4年間の収入差を比較すると、学費を考慮しても思ったほど差がないケースもあります。
4. 心身の負担
介護職は、社会的ニーズが高いといえど、体力的にも精神的にも負担の大きい仕事です。特に資格を持たない初心者にとっては、業務上のストレスに加え、勉強のプレッシャーも重なり、バーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクが高まります。
「仕事と勉強の両立が想像以上に大変で、途中で資格取得を諦めてしまった」という声も少なくありません。
介護福祉士に向いている人の特徴と適性

介護福祉士は誰にでも向いている仕事ではありません。自分の適性を知ることは、進路選択において非常に重要です。介護福祉士に向いている人の特徴を見てみましょう。
1.コミュニケーション能力がある
介護の仕事は人との関わりが中心です。利用者やその家族、他の専門職との円滑なコミュニケーションが求められます。特に以下のような能力が重要です。
- 相手の気持ちを察する共感力
- わかりやすく伝える説明力
- 傾聴する姿勢
「人と話すのが好き」「相手の気持ちに寄り添える」という方は、介護福祉士に向いているといえるでしょう。
2. 忍耐力と柔軟性がある
介護の現場では予定通りに進まないことも多く、臨機応変な対応と忍耐力が求められます。
- 急な体調変化への対応
- 繰り返しの作業や時に単調な業務
- 利用者の様々な要望への対応
「計画通りに物事が進まなくても柔軟に対応できる」「同じことを何度も繰り返しても苦にならない」という特性は大きな強みとなります。
3. 細やかな観察力と気配り
利用者の小さな変化に気づく観察力は、介護福祉士にとって非常に重要なスキルです。
- 体調の微妙な変化に気づく目
- 生活環境の安全確認
- 心理状態の変化を感じ取る感性
「細かいことに気づくことが得意」「周囲の人の様子をよく観察している」という方は、この仕事に向いているでしょう。
4. チームで働く協調性
介護現場では医師、看護師、ケアマネージャーなど様々な専門職とチームを組んで仕事をします。
- 情報共有を円滑に行える
- 他のスタッフと協力できる
- 自分の役割を理解して行動できる
「一人で何でもやりたい」というよりも、「みんなで力を合わせて良い環境を提供したい」という思いを持つ方が向いています。
5. 身体的な健康と体力
介護の仕事は立ち仕事が多く、時に身体的な負担を伴います。
- 移乗介助などの力仕事
- 長時間の立ち仕事
- 不規則な勤務形態に対応できる体力
ただし、近年は介護ロボットや福祉用具の普及により身体的負担は軽減されつつあります。また、正しい技術を学ぶことで無理なく安全に介助することも可能です。
自己チェックポイント
- 人の役に立ちたいという気持ちが強い
- 高齢者や障がい者と関わることに抵抗がない
- 様々な場面で臨機応変に対応できる
- 相手の気持ちに寄り添うことができる
- チームワークを大切にできる
これらの項目に多く当てはまる方は、介護福祉士に適性があるかもしれません。
介護福祉士の給与とキャリアパス

「介護の仕事は給料が安い」というイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、実際はどうなのでしょうか?
最新の給与事情
厚生労働省の2024年度介護従事者処遇状況等調査によると、介護福祉士の平均月給は33万8,200円(手当含む)となっています。これは、資格を持たない介護職員(平均約27万円)と比較すると、月額で約6万円の差があります。
特に近年は、政府の介護職員処遇改善加算の拡充により、介護福祉士の給与水準は着実に向上しています。2023年には「介護職員等処遇改善加算」に加え、「介護職員等ベースアップ等支援加算」も創設され、さらなる待遇改善が進んでいます。
キャリアパスの可能性
介護福祉士資格を取得した後のキャリアパスは多岐にわたります:
- 管理職への道
- 主任介護福祉士
- フロアリーダー
- 施設長など管理職
- 専門性を高める道
- 認知症ケア専門士
- 福祉住環境コーディネーター
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
- 教育・研究の道
- 介護福祉士養成施設の教員
- 介護研修指導者
- 起業・独立の道
- 訪問介護事業所の開設
- 介護関連コンサルタント
多くの場合、介護福祉士として現場経験を積んだ後、ケアマネジャーの資格を取得して活躍するというキャリアパスが一般的です。ケアマネジャーになると、さらに給与水準が上がることも期待できます。
男性介護士の活躍も
「介護は女性の仕事」というイメージがある方も多いかもしれませんが、実際には男性介護士の需要は非常に高く、活躍の場が広がっています。
特に、移乗介助など力仕事が必要な場面や、男性利用者の対応において男性介護士の存在は貴重です。また、管理職に登用されるケースも多く、キャリアアップの可能性も広がっています。
2023年のデータによると、介護職全体の約25%が男性であり、その割合は年々増加傾向にあります。
キャリアアッププランの例
【専門学校卒業ルート】
1年目:介護福祉士(新卒)として就職
3年目:実務経験を積み、主任級に昇進
5年目:ケアマネジャー資格を取得
7年目:ユニットリーダーやサービス提供責任者に
10年目以降:管理者や施設長を目指す
これに対し、働きながら資格取得するルートでは、同じキャリアパスを歩むのに3年以上の遅れが生じることになります。
介護福祉士を目指す高校生が今すべきこと

介護福祉士を目指すなら、高校生のうちからできる準備があります。ここでは具体的な行動計画を紹介します。
1. オープンキャンパスに参加する
まずは興味のある学校のオープンキャンパスに積極的に参加しましょう。これにより、学校の雰囲気や設備、カリキュラムを直接確認できます。
例えば、仙台医療福祉専門学校では毎月オープンキャンパスを開催しており、実際に介護技術を体験できるプログラムも用意されています。先輩や教員に直接質問できる貴重な機会ですので、疑問点はどんどん質問しましょう。
2. ボランティア活動に参加する
福祉施設でのボランティア活動は、実際の介護現場を知る絶好の機会です。
- 地域の高齢者施設でのレクリエーション補助
- デイサービスでの話し相手
- 福祉イベントのお手伝い
これらの経験は、自分が介護の仕事に向いているかどうかを判断する材料になるだけでなく、入学試験や面接でのアピールポイントにもなります。
3. 介護職員の話を聞く機会を作る
現役の介護福祉士や介護施設で働く方のリアルな話を聞くことは非常に参考になります。
- 進路指導の先生に相談し、OB・OGを紹介してもらう
- 介護福祉士を目指す理由や将来のビジョンを考える
- 介護の仕事の魅力と大変さの両面を理解する
4. 奨学金制度を調べる
専門学校に進学するための奨学金や支援制度を早めに調査しましょう。
- 日本学生支援機構の奨学金
- 介護福祉士修学資金貸付制度(各都道府県で実施)
- 学校独自の奨学金制度
特に介護福祉士修学資金貸付制度は、卒業後に一定期間介護業務に従事すると、返還が免除される可能性があるため、大きな支援となります。
5. 進学と就職の両方のルートを比較検討する
「進学」と「就職」の両方のルートのメリット・デメリットを理解し、自分に合った道を選ぶことが重要です。
家族や進路指導の先生、可能であれば実際に両方のルートを経験した方の話を聞き、情報収集をしっかり行いましょう。
介護福祉士を目指す方によくある質問
Q1: 介護福祉士になるのに大学と専門学校はどちらが良いですか?
A: どちらにもメリットがあります。大学では幅広い教養と福祉学を学べる一方、専門学校では実践的な介護技術に特化した教育を受けられます。費用面では専門学校の方が一般的に抑えられ、期間も2年で取得できるため効率的です。将来的に介護現場で働くことを考えるなら、専門学校の方が実践的なスキルを集中的に学べるメリットがあります。
Q2: 介護福祉士の資格は難しいですか?
A: 国家試験の合格率は例年60~75%程度で推移しています。専門学校や大学などの養成校で学ぶと、カリキュラムの中で試験対策も行うため、適切に学習すれば合格は十分に目指せます。一方、働きながら資格取得を目指す場合は、独学での勉強が必要となるため、仕事との両立が課題となります。
Q3: 介護福祉士として働くと体を壊しやすいというのは本当ですか?
A: 適切な介護技術を身につけていない場合、腰痛などの身体的負担は確かに大きくなります。しかし、専門学校では正しいボディメカニクスや移乗技術を学ぶため、身体的負担を最小限に抑えることができます。また近年は介護ロボットや福祉用具の導入が進み、身体的負担は軽減されつつあります。
Q4: 親が介護福祉士を目指すことに反対しています。どうすれば説得できますか?
A: 介護業界の最新動向や将来性、キャリアパス、給与水準の改善などの具体的なデータを示すことが効果的です。また、オープンキャンパスに一緒に参加して、実際の教育環境や将来の可能性を見てもらうことも良いでしょう。介護福祉士として活躍している方の体験談を共有するのも説得材料になります。
Q5: 介護福祉士の資格を取った後、他の医療・福祉職に転向することはできますか?
A: 可能です。介護福祉士の資格や経験は、ケアマネジャーや社会福祉士などの関連資格取得の基盤となります。また、介護施設の管理職、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーターなど、様々な分野への転向も可能です。介護現場での経験は人間理解の基礎となり、多くのキャリアパスに活かせます。
Q6: 男性でも介護福祉士として活躍できますか?
A: もちろん活躍できます。むしろ男性介護士の需要は高まっています。力仕事が必要な場面や男性利用者への対応など、男性ならではの強みを活かせる場面は多くあります。また、管理職に登用される割合も高く、キャリアアップの可能性も広がっています。
Q7: 介護職は給料が低いと聞きますが、生活していけますか?
A: 近年は介護職員処遇改善加算などの制度により、介護福祉士の給与水準は着実に向上しています。特に資格を持っていると手当が加算され、経験を積むにつれて給与も上がります。2024年の調査では介護福祉士の平均月収は約33万円(手当込み)となっており、一般的な生活水準は十分に確保できる水準です。
介護福祉士のルートの選び方
介護福祉士になるためのルートは主に2つ、「進学するルート」と「就職してから目指すルート」があります。どのルートを選ぶかは、あなた自身の状況や価値観によって異なりますが、進学して介護福祉士を目指す場合のメリットは下記のとおりです。
進学して介護福祉士を目指す場合のメリット
- 効率的に資格取得が可能(最短2年)
- 体系的な知識と技術を学べる
- 実習を通じて様々な現場を経験できる
- 就職サポートが充実している
- 卒業と同時に資格を持った状態で就職できる
特に高校生の皆さんには、専門学校への進学が時間的にも効率的で、長期的なキャリア形成においても有利な選択肢となる可能性が高いです。
今後の行動計画
- オープンキャンパスに参加して、学校の雰囲気や教育内容を確認しよう
- ボランティア活動を通じて、介護の現場を体験してみよう
- 奨学金や修学資金貸付制度について調べてみよう
- 家族や先生と進路について相談しよう
介護福祉士は、高齢社会において今後ますます需要が高まる専門職です。やりがいを持って長く働ける職業として、そして人の役に立ちたいという思いを実現できる仕事として、多くの可能性を秘めています。
「人の役に立ちたい」
「誰かの支えになりたい」
そんな思いをカタチにする第一歩として、仙台医療福祉専門学校の介護福祉士学科のオープンキャンパスに参加してみませんか?実際の授業や施設を見学し、先輩や教員の話を聞くことで、あなたの将来の選択肢がより明確になるはずです。
あなたの「誰かの役に立ちたい」という思いを、資格と専門性を持った職業人としての道につなげるお手伝いをさせてください。