コラム

社会福祉士になるには何が必要? 社会福祉士試験の難易度や試験合格までの道のりを解説


公開日:2024/9/13   更新日:2024/9/13

高齢社会の進行により、病院や障害者施設、介護施設などで、支援・介助を行い生活を支える「社会福祉士」のニーズが高まっています。

 

困っている人を助けるやりがいのある仕事です。社会福祉士になるには国家試験に合格する必要があります。また国家試験を受けるには受験資格が必要です。

 

そこで社会福祉士になるためのロードマップや難易度を解説するとともに、どのような方が向いているのか紹介します。
社会福祉士への就職・転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。


 

社会福祉士の仕事内容

 

社会福祉士は、身体的・精神的・環境的な問題で、日常生活が困難な人の援助を行います。

 

ソーシャルワーカーと呼ばれ、高齢者や障害者、児童など、福祉ニーズを抱える人々福祉の専門的な知識・技術で生活を支援する専門職です。幅広い年齢層・状況の人たちへの支援を行います。資格取得するには国家試験に合格することが必須となります。

 

具体的な仕事内容は、相談者への助言・説明や、自立した生活が送れるような援助計画の立案、福祉・医療サービスの専門家への橋渡しなどです。介護施設など勤務場所によっては、介護スタッフを兼任するケースもあり、食事や入浴、掃除、洗濯などを担当することもあります。

 

社会福祉士の登録者は右肩上がりに増加しており(※)、少子高齢社会が進むにつれ、介護施設や障害者施設、医療機関などで、福祉の知識をもつ人材の需要は高まっています。今後も少子高齢化が続くことで、さらに需要が高まる見込みです。

 

また社会福祉士の資格を持っていることで、介護施設や障害者福祉施設、医療機関などの管理職へステップアップしやすくなります。精神保健福祉士など、他の資格も取得して、仕事の幅を広げるケースもあります。

 

他にも社会福祉士としての経験を生かして、講師や行政・各団体の外部委員、介護認定審査会委員、専門相談員などとして独立することも可能です。

 

※参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター.「登録者数の状況」https://www.sssc.or.jp/touroku/pdf/pdf_tourokusya_graph_r05.pdf


 社会福祉士に向いている人 



社会福祉士に向いている人の特徴として、以下のようなポイントが挙げられます。当てはまる方は、社会福祉士として活躍できる下地があるといえます。

 

  • 人と関わるのが好き
  • チームプレイを重視する
  • 倫理観・コンプライアンス意識がある
  • セルフマネジメントできる

 

社会福祉士は高齢者から子どもまで、幅広い年齢層・状況の人から相談を受ける仕事です。個々の悩みをしっかり理解できるように、相手を知ろうとする姿勢が重要となります。相談者本人だけでなく、相談者の家族や地域コミュニティなどに話を聞くこともあるため、積極的に人と関われるコミュニケーション能力の高さが大切です。

 

また個人だけで行える仕事ではないので、各方面と連携を取る能力も求められます。福祉施設や医療機関、行政機関、地域コミュニティなど、さまざまな立場の関係者と連携する必要があり、橋渡し役としてチーム全体で問題解決に取り組まなければなりません。

 

福祉対象者の問題を解決するに当たって、さまざまな情報を知ることになるため、倫理感やコンプライアンス意識も重要な素養です。

 

適切な支援を行うには、相談者の抱える悩みを聞き取る必要があります。しかし必然的に家族構成や健康状態、経済状況などプライベートな内容に踏み込むため、守秘義務を徹底して遵守しなければなりません。

 

そしてなにより、自分の行動・思考を管理する「セルフマネジメント能力」が求められます。最新の知識を学び続ける姿勢や、相談者の負の感情に引っ張られないよう、気持ちを切り替える能力が大切です。

 

社会福祉士になるためのロードマップ

 

社会福祉士になるために必須の、国家資格取得までのロードマップを解説します。順を追って解説するので、何が必要なのか全体像を把握しましょう。

 

社会福祉士国家試験の受験資格を得る 

 

社会福祉士国家試験を受けるために、まずは受験資格を得ましょう。

 

社会福祉士国家試験の受験資格を得るには、全部で12のルートがあります。大きく3つに分類でき、それぞれ受験資格を得るまでの過程や時間が異なります。

 

【福祉系大学・短大・専修学校ルート】

 

  • 福祉系大学等4年→指定科目履修
  • 福祉系短大・専修学校等3年→指定科目履修→相談援助実務1年
  • 福祉系短大・専修学校等2年→指定科目履修→相談援助実務2年

※参考:仙台医療福祉専門学校「社会福祉学科」https://sif.ac.jp/course/shakai.html

 

【短期養成施設ルート】

 

  • 福祉系大学等4年→基礎科目履修→短期養成施設等(6カ月以上)
  • 福祉系短大等3年→基礎科目履修→相談援助実務1年→短期養成施設等(6カ月以上)
  • 福祉系短大等2年→基礎科目履修→相談援助実務2年→短期養成施設等(6カ月以上)
  • 社会福祉主事養成機関→相談援助実務2年→短期養成施設等(6カ月以上)

 

【一般養成施設ルート】

 

  • 一般大学等4年→一般養成施設等(1年以上)
  • 一般短期大学等3年→相談援助実務1年→一般養成施設等(1年以上)
  • 一般短期大学等2年→相談援助実務2年→一般養成施設等(1年以上)

 

複数ルートがあるため、社会福祉士の受験資格を得るまでの時間は異なりますが、どのルートにおいても4年間程度はかかります

 

ただし大学に進学していなくても、短期大学や社会福祉主事養成機関(専修学校等)に進学すれば社会福祉士を目指せます。

 

例えば専修学校2年+相談援助実務経験2年+短期養成施設等(6カ月以上)の4年半でも受験資格を得られるため、福祉系大学に通った際とほぼ同じスピードで資格を得ることも可能です。

 

※参考:仙台医療福祉専門学校 社会福祉士養成通信課程 https://sw.sif.ac.jp/

※参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター.「受験資格(資格取得ルート図)」https://www.sssc.or.jp/shakai/shikaku/route.html 

 

社会福祉士試験を受けるために必要な実務経験

一定期間以上の実務経験があれば、社会福祉士試験の受験資格を得られるケースもあります。

 

  • 児童福祉司・身体障害者福祉司・査察指導員・知的障害者福祉司・老人福祉指導主事いずれかの実務4年→短期養成施設等(6カ月以上)(※1)
  • 相談援助の実務4年→一般養成施設等(1年以上)(※2)

 

このように一定期間の実務経験がある場合は、一般養成施設などで必要なカリキュラムを履修すれば、社会福祉士国家試験の受験資格を得られます。

 

実務経験として認められる職種は限定されており、以下の4つに分けられています。

 

  • 児童分野:児童相談所の相談員、母子生活支援施設や児童養護施設、障害児入所施設の支援員や指導員、保育士など
  • 高齢者分野:介護保険施設や養護老人ホームなどでの相談指導員や生活相談員など
  • 障害者分野:身体障害者更生相談所や障害者支援施設などでの身体障害者福祉司やケースワーカー、生活支援員など
  • その他の分野:保健所の相談員や精神保健福祉士、病院の相談員、福祉事務所の査察指導員など

 

ただし上記の職種で働いていたからといって、必ずしも受験資格を得られるわけではありません。例えば保育士として働いた場合も「入所者の保護に直接従事する保育士」の場合は、実務経験としてカウントされないため要注意です。

 

どのような職種での経験が該当するのか、あらかじめ確認しておきましょう。

 

※1参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター.「受験資格:5職種の実務(査察指導員等)」https://www.sssc.or.jp/shakai/shikaku/s_10.html

 

※2参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター.「受験資格:相談援助業務(実務経験)」https://www.sssc.or.jp/shakai/shikaku/s_11.html 

 

社会福祉士国家試験を受ける 

 

受験資格を得たら、社会福祉士国家試験に臨みます。

 

国家試験は例年2月に一度だけ行われ、申し込み受付期間は例年9月~10月です。

 

試験に実技はなく、筆記のみです。各設問は5つの選択肢から正しいもの・適切なものを選ぶ形式で、以下の科目から出題されます。

 

  • 医学概論
  • 心理学と心理的支援
  • 社会学と社会システム
  • 社会福祉の原理と政策
  • 社会保障
  • 権利擁護を支える法制度
  • 地域福祉と包括的支援体制
  • 障害者福祉
  • 刑事司法と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職
  • ソーシャルワークの理論と方法
  • 社会福祉調査の基礎
  • 高齢者福祉
  • 児童・家庭福祉
  • 貧困に対する支援
  • 保健医療と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
  • ソーシャルワークの理論と方法(専門)
  • 福祉サービスの組織と経営

 

合格基準は、問題の総得点の60%程度となっており、問題の難易度に応じて補正した点数以上の得点者が合格となります。

 

また以下の6科目群で1問以上正解する必要があり、苦手分野がないよう幅広く勉強する必要があります。

 

  • 医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム
  • 社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度
  • 地域福祉と包括的支援体制、障害者福祉、刑事司法と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎
  • 高齢者福祉、児童・家庭福祉、貧困に対する支援、保健医療と福祉
  • ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)、ソーシャルワークの理論と方法(専門)、福祉サービスの組織と経営

 

※参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター.「試験概要」.https://www.sssc.or.jp/shakai/gaiyou.html ,(参照2024-06-20).

 

※参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター.「出題基準・合格基準」.https://www.sssc.or.jp/shakai/kijun/kijun_02.html ,(参照2024-06-20).

 

資格登録の申請を行う

 

無事試験に合格したら、社会福祉士として働くために、下記手順で登録申請を行います。

 

  1. 必要書類(登録申請書や貼付用紙、戸籍謄本の原本など)を簡易書留で、公益財団法人社会福祉振興・試験センターに送る
  2. 試験センターで審査・登録簿への登録が行われる
  3. 登録証が交付される

 

提出した書類に不備がなければ、1カ月程度で登録証を受け取れます。

 

また登録申請書と貼付用紙を送る際には、登録免許税1万5,000円・登録手数料4,050円が発生します。

 

あらかじめ収入印紙などの必要書類を準備しておくと、スムーズに登録を済ませることが可能です。

 

※参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター.「初めて登録申請を行なう方の登録手続き」https://www.sssc.or.jp/touroku/shinki.html

 

社会福祉士試験の難易度は高い?

 

社会福祉士試験は、比較的難易度が高いといえます。

 

福祉や行政、医学など幅広い分野から出題され、先述の通り各科目群で1問以上正解する必要があるため、苦手分野がないようまんべんなく勉強しなくてはなりません。

 

精神保健福祉士や介護福祉士と比べ、多くの時間を勉強に割かないと合格するのは難しいでしょう。一般的に約300時間の勉強が必要とされており、十分な試験対策が必要です。

 

社会福祉士試験の合格率

 

社会福祉士試験の合格率は、厚生労働省が発表している「社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」によると、毎年30%前後で推移しています。

 

10人中3人程度しか合格できないため、狭き門だといえるでしょう。ただし2024年の合格率は58.1%と過去の試験に比べて高く、2023年も44.2%と比較的高くなっています。

 

※参考:厚生労働省.「社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001215874.pdf 

 

 社会福祉士試験の勉強方法

 

社会福祉試験の勉強は、全科目をまんべんなく解答できるよう意識しましょう。

 

社会福祉の試験は各科目群で1問以上正解する必要があるため、苦手科目の放置は命取りになります。教材や過去問でしっかりと対策して、苦手科目を克服しておきましょう。

 

ここで大切なのが、最新のテキストで勉強することです。頻繁に法改正が行われているため、古い教材や過去問だと現状の法令などと異なる可能性があります。間違った知識を覚えてしまわないように、最新の教材・問題集を使用してください

 

一発合格をめざすのであれば、講座の受講がおすすめです。独学でも合格は可能ですが、講座を受けると正しい知識を得られるだけでなく、試験の出題傾向なども教えてもらえるので、独学よりも効率的に学べ、合格に近づきやすくなるでしょう。

 

 まとめ

 

社会福祉士は、困っている方を助けるやりがいのある仕事です。国家資格が必要な専門職のため、就職・転職するには難易度の高い職種です。

 

受験資格の取得が必要で、国家試験に合格できるか不安な方は「仙台医療福祉専門学校」への入学がおすすめです。

 

大学よりも学費を抑えられることに加え、複数機関での実習・福祉現場での体験学習が充実しているので、卒業後すぐに実力を発揮できます。進学・再進学を検討されている方は、まずはお気軽に資料をご請求ください。





この記事の監修者
仙台医療福祉専門学校

宮城県初の医療秘書科、宮城県初の介護福祉士養成課程の設置など、1980年開校以来24,000名もの卒業生を輩出する伝統校。
経験豊富な教員、職業に直結するカリキュラムなどを用意し、医療や福祉の現場で活躍するために必要な知識と技術を身に付ける「教育力」を誇ります。

【医療事務総合学科/医療事務学科/介護福祉学科/社会福祉学科】