公開日:2024/9/13 更新日:2024/9/13
「医療現場で働いてみたい」「人のためになるやりがいのある仕事がしたい」という方におすすめなのが、医師事務作業補助者という仕事です。
医師事務作業補助者は、医師の指示のもと、診断書作成やカルテ入力などを補助して「医師の負担軽減」と「診療の質向上」に貢献する重要な役割を担っています。
中には「医療事務とどう違うの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そこで医師事務作業補助者の仕事内容や将来性、資格などを解説します。
医師事務作業補助者とは、医師の代わりに診断書の文書作成・電子カルテへの入力など、事務作業の補助業務を行う仕事です。「医療クラーク」とも呼ばれます。主な職場は総合病院や大学病院など、医師の事務作業が増加する大規模な医療機関です。
医師事務作業補助者の仕事は、勤務医の過重労働が深刻化したことから「医師の事務作業負担を軽減する」ことを目的として始まりました。特に医師が負担に感じていた「診断書の作成」を代行することで、医師が診療に専念できるよう環境を整えます。
診断書作成の代行以外にも、診療記録の代行入力や診療に関するデータ整理、院内がん登録などの統計・調査、教育・研修・カンファレンスの準備作業、患者対応業務など、仕事内容は多岐にわたります。
医師事務作業補助業務を行うのに必要な資格はありません。医師の指示のもと行われるため未経験でも応募できる職種です。
今後ますます高齢化社会が加速し医療の需要が増すことや、医師の働き方改革による労働時間の規制などの影響から、医師事務作業補助者の活躍が期待されています。
医師事務作業補助者と医療事務の違いは、主な業務内容や業務範囲です。
医療事務は受付窓口での患者への対応が主な仕事であるのに対し、医師事務作業補助者は医師の事務作業をサポートするのが主な仕事です。
そのため医療事務が窓口で働くのに対して、医療事務作業補助者は医師とのやりとりが中心になるため、ナースステーションや診療室で勤務するケースが多くなっています。
どちらの仕事も医療行為は行わないため、未経験・無資格でも働ける点は共通しています。
医師事務作業補助者の仕事内容は多岐にわたりますが、大きく5つの業務に分けられます。どのような仕事を行うのか解説するので、どのように働くのかイメージしてみてください。
医師とともに診察室へ入り、診察内容を聞きながらカルテの入力を代行します。
電子カルテが一般的になっているため、医師の指示を受けながら、パソコンで入力していきます。具体的な入力内容は、診療内容や検査、処方、外来・入院診療録、手術記録、麻酔記録などです。
いずれも間違った情報を入力すると大きなミス・事故につながりかねないため、正確に入力する必要があります。また医師の事務作業を代行するため、専門的な知識が必要になる場面もあります。
診断書をはじめ、患者の治療に関する重要な文書の作成代行も行います。
医師の指示の下、診断書や処方箋、介護保険における医師の意見書、患者・家族への説明文書、診療情報提供書(紹介状)、紹介状の返書、入院診療計画書、退院サマリーなど、さまざまな文書の作成を行います。
どれも患者の治療に関する重要なものなので、ミスのないよう正確に作成しなければなりません。
また診断書のように病院様式や保険会社様式などの行政様式と、同じ文書でもパターンが異なるものもあり、状況に応じて適切に対応する必要があります。
データの入力作業だけでなく、診察関連のデータ管理も重要な仕事の一つです。
患者のカルテやレントゲン・CT検査などの画像データ、血液検査の結果など、診療を通して得られたデータの管理や整理を行います。
診療データ以外にも、病院運営に関する資料や疾患別患者数や手術件数などの集計などのデータや、病院へ届くメールの整理なども担当します。
データをきちんと管理し、見やすいように整理することは、単なる事務作業ではなく、医師の効率的な診療に貢献できるため、医療サービスの質アップにつながる業務です。
学会やカンファレンスなどで使用する、資料の作成も医療事務作業補助者の仕事です。
カンファレンスとは、医療の現場で「治療やケアの情報共有・共通理解を図る場」のことです。
医療従事者だけでなく、理学療法士・管理栄養士なども交えて治療・支援の方針を決めるチームカンファレンスや、学会や医療機関の管理職・経営職が集まって病院の安定的な経営・医療機関の発展の協議を行うストラテジーカンファレンスなど、大小さまざまな規模のカンファレンスが開かれます。
こうしたカンファレンス(院内会議・院外会議)や学会などで用いる資料を作るため、院内のがん登録の統計をとったり、治療・診察のデータをまとめたりするのも重要な役割です。
他にも、臨床研修をはじめ研修資料の作成や、学術論文など資料の検索・取り寄せも行います。
行政機関への対応として、各種データを入力する作業も行います。
例えば地域の救急医療情報システムの入力業務や、感染症サーベイランスに関する入力業務、厚生労働省や各自治体などに報告する診療データの整理など、行政上必要な対応が挙げられます。
これらの作業は、どのような場所でどのような症状が確認できたか共有するために行うものです。
例えば感染症サーベイランスは、感染症の発生情報を正確に把握・共有することで、いち早く感染症に対する有効かつ的確な予防・診断・治療を行うためのものです。感染症の発生・まん延防止において重要な役割を担っています。
正確に入力作業を行うことで、全国の医師が適切な医療を提供できます。
医師事務作業補助者には、作業をミスなく行う正確性が求められます。
カルテや診断書、処方箋など、多くの重要な文書を医師に代わって作成するため、抜け漏れや間違いがないように集中して作業しなくてはなりません。もし入力ミスがあれば、間違った医療サービスを提供することも考えられるので、なによりも正確性が重視されます。
また診療科目や医療内容ごとの一定の基礎知識も必要です。院内では専門用語を扱う場面も多く、分からない用語は医師や他のスタッフに質問して理解しましょう。
医師事務作業補助者の業務は医師の指示のもと行うため、医師との連携は必要不可欠です。もちろん他のスタッフとの連携も欠かせないため、コミュニケーション能力も重要なスキルだといえます。
専門的なスキルというよりも、社会人としての基礎的なスキルが必要となる仕事です。
医師事務作業補助者は、今後ますます必要になっていくと考えられます。
働き方改革の一環として、2019年から「時間外労働の上限規制」が労働基準法に規定されていますが、医療業界ではすぐさま対応できないことから、時間外労働の上限規制の適用に5年間の猶予が設けられていました。
猶予期間が終了した2024年4月からは、医療業界にも時間外労働の上限規制が適用されるようになり、医師の長時間労働が是正されるようになりました。
厚生労働省が運営する「医師の働き方改革」.jpによると、2019年度の調査では医療機関で働く医師の約40%が月80時間以上の残業(時間外・休日労働)を行っていると判明しており、約1割の医師が月160時間程度残業していると、長時間労働の実態が常態化しています。
労働環境を改善し医師の健康はもちろん、医療の質を向上させるため、医師の働き方改革が進められているのが現状です。
こうした動きがあることで、医師の作業負担を軽減する医師事務作業補助者への注目が高まっています。
また少子高齢社会が進行していく中で、今後も医療の需要は増加傾向にあるのに対し、医療の担い手は減少の一途をたどっています。
医師の時間外労働の削減や医療の需要増・担い手不足により、医師をサポートし診療行為へ専念できるよう整える医師事務作業補助者の需要は、さらに増していくでしょう。
※参考:厚生労働省.「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html
※参考:厚生労働省.「「医師の働き方改革」.jp」https://iryou-ishi-hatarakikata.mhlw.go.jp/about/
先述の通り医師事務作業補助者は、医療行為を直接行わないため、特別な資格は必要ありません。未経験でも働ける仕事です。
とはいえ、診断書やカルテなど重要な書類を扱う仕事のため、未経験からいきなり応募するのは不安な方も多いでしょう。
いくつか医師事務作業補助者の民間資格があり、代表的なものとして以下の2つが挙げられます。
どちらも医師事務作業補助者に必要な知識・技能が備わっていることを評価・認定してくれるため、取得しておくと求職・転職活動が有利になるはずです。
※参考:一般財団法人 日本医療教育財団.「技能審査認定 医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク®)」https://www.jme.or.jp/exam/dc/index.html
※参考:技能認定振興協会.「医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト®)検定試験」https://www.ginou.co.jp/qualifications/doctors-office.html
医師事務作業補助者は、医師の指示の下カルテや診断書などの作成代行や、診察関連のデータの管理・整理、学会・カンファレンスの資料作成など、幅広い事務作業を行います。
直接的な医療行為を行わないため、特別な資格は必要ありません。ただし正確な作業が要求されるため、医療の専門知識や作成する資料への理解が必要となります。
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